庭木の枝や軒先に、とっくりを逆さにしたような形の巣ができている。生け垣の手入れをしていたら、ハチが一気に飛び出してきた。こうした場面で見られるのがコガタスズメバチです。
名前に「コガタ」とつきますが、キイロスズメバチと同じくらいの大きさがあり、人家の周辺によく巣を作るスズメバチです。
本記事では、コガタスズメバチの生態を客観的に解説します。
コガタスズメバチとは?大きさ・見た目の基本情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 名称 | コガタスズメバチ |
| 学名 | Vespa analis(日本本土亜種は V. a. insularis) |
| 分類 | 昆虫綱 ハチ目 スズメバチ科 |
| 体長 | 女王25〜30mm前後、働きバチ22〜26mm前後(資料により幅がある) |
| 見た目 | 腹部のしま模様が目立ち、腹部の先端は黄色。斑紋はオオスズメバチに似るが、はるかに小さい |
| 働きバチの数 | 50〜300匹ほど(資料により幅がある) |
コガタスズメバチの生態|巣・食性
巣:開けた場所に作る
庭木や生け垣の茂み、屋根のひさし、小屋やガレージの屋根の下など、比較的開けた場所に巣を作ります。
作り始めの巣は、とっくりを逆さにしたような形が特徴です。働きバチが生まれると、球状や洋ナシ形、ラグビーボールのような形に大きくなり、大きさはバレーボールより小さめからバスケットボールほどになります。
食性
バッタ、トンボ、アブ、ハエ、ほかのハチ、アオムシなどを狩ります。樹液や、アブラムシなどが出す甘い液にも集まります。
スズメバチの1年
| 時期 | 巣の様子 |
|---|---|
| 4月下旬〜5月 | 冬眠から覚めた女王が、1匹で徳利(とっくり)を逆さにしたような形の巣を作り始める |
| 6〜7月 | 働きバチが生まれて数が増え、巣が球状になっていく |
| 8〜9月 | 最も活発になり、巣が最大になる。新しい女王を育て始める |
| 9月中旬ごろ | 新女王が生まれるころが最も危険な時期とされる |
| 10月以降 | 働きバチが減り、11月にはほぼいなくなる。新女王だけが冬を越す |
コガタスズメバチが家のまわりに巣を作る理由
コガタスズメバチは人家の周辺に多く、手入れされた庭木や生け垣、軒先など、身近な場所を巣作りに使います。そのため、庭木の剪定や草むしりの最中に巣に気づかず近づいてしまうことがあります。
コガタスズメバチによる被害・影響
性質は比較的おとなしいとされますが、刺される被害の多い種類です。巣を刺激すると、多数のハチが一気に飛び出してきます。
コガタスズメバチがいるサイン
| サイン | 見られる場所・特徴 |
|---|---|
| とっくりを逆さにした形の小さな巣 | 春から初夏。軒先や庭木の枝 |
| 丸い巣とその出入り口に集まるハチ | 夏以降。生け垣、庭木、ひさしの下 |
コガタスズメバチに刺されないために
ハチ類に刺されて亡くなる人は毎年います。林野庁によると、ハチ刺されによる全国の死亡者数は2024年に18名でした。死亡事故のほとんどはアナフィラキシーショックによるもので、多くは刺されてから1時間以内に亡くなっていると考えられています。
刺されないための注意
- 黒いものを攻撃する習性があるため、白っぽい服装にする。長袖・長ズボン・帽子で肌を出さない
- 香水・化粧品・整髪料など、においの強いものを避ける
- 巣に近づかない・刺激しない。庭木の手入れの前に巣がないか確認する
- ハチが近づいてきたら、手で払わず、走らずに静かに後ずさりして離れる
- 虫よけスプレーは、刺すハチには効果がない
刺されたときの目安
刺されたら、口で吸い出さずに毒を絞り出し、流水で冷やします。アンモニアや尿を塗るのは有害です。じんましん、発熱、嘔吐、息苦しさなど全身に症状が出たら、救急車を呼ぶなどしてすぐに医療機関を受診してください。過去にハチに刺されてアレルギー反応が出たことがある人は、特に注意が必要です。
巣の駆除について
初期の小さな巣以外は、防護服などの装備を持つ専門業者による処理が必要とされています。大きな巣に自分で手を出すのは危険です。自治体によっては、相談窓口や駆除費用の補助制度を設けている場合があるので、お住まいの市町村にも確認してください。
コガタスズメバチの生存戦略|身近な場所を巣に使う
開けた場所でも巣を作れるため、庭木や軒先など、住宅地のさまざまな場所を利用できます。春に女王が1匹で小さな巣を作り、夏に向けて働きバチを増やしていきます。
生態系での役割
バッタやアブ、アオムシなどを狩る捕食者で、庭や畑の昆虫の数を抑える役割も持っています。
建物・庭診断の視点|コガタスズメバチからわかる住まいの状態
生い茂った庭木や生け垣は、コガタスズメバチが巣を作りやすい場所です。春のうちに庭木や軒先を見回り、小さなとっくり形の巣がないか確認することで、大きくなる前に気づくことができます。
コガタスズメバチの危険度評価
※地域・環境により変動する相対的な目安です。
| 項目 | 評価 |
|---|---|
| 人との接触 | ★★★★☆(人家の周辺に多い) |
| 攻撃性 | ★★★☆☆(比較的おとなしいが、巣を刺激すると一斉に飛び出す) |
| 巣の規模 | ★★★☆☆(働きバチ数十〜数百匹) |
| 見つけにくさ | ★★★☆☆(庭木の茂みの中は気づきにくい) |
| 駆除難易度 | ★★★★☆(大きくなった巣は専門業者に) |
ほかのスズメバチとの見分け方
| 種類 | 見分けるポイント |
|---|---|
| コガタスズメバチ | 腹部のしま模様が目立つ。初期の巣はとっくりを逆さにした形。庭木や軒先に作る |
| キイロスズメバチ | 全体に黄色っぽい。屋根裏など閉じた空間にも作り、巣が大きくなりやすい |
| オオスズメバチ | 女王は4cmを超える。主に土の中に巣を作る |
