秋、庭木と軒のあいだに大きな網が張られ、黄色と青灰色のしま模様の大きなクモが真ん中に陣取っている。網の糸は日に当たると金色に見えます。こうした場面でよく見られるのがジョロウグモです。
見た目は派手で大きいものの、人に対してはとても臆病で、毒も人にはほとんど害がないとされています。
本記事では、ジョロウグモの生態を客観的に解説します。
ジョロウグモとは?大きさ・見た目の基本情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 名称 | ジョロウグモ(女郎蜘蛛) |
| 学名 | Trichonephila clavata(以前は Nephila clavata) |
| 分類 | クモ綱 クモ目 コガネグモ科 |
| 体長 | メス20〜30mm(脚を含めると約6cm)、オス6〜10mm |
| 見た目 | 腹部の背中側は黄色と灰青色の横じま、腹側に赤い模様 |
| 網 | 黄金色の糸で、大きな網の前後に小さな網がある三重構造 |
| 目立つ時期 | 9〜11月 |
2019年の研究で属が分けられ、学名が Nephila から Trichonephila に変わりました。古い資料では旧学名で書かれていることもあります。
ジョロウグモの生態|網・食べ物・1年の暮らし
網:三重構造で、張り替えずに重ねる
中央の大きな網の前と後ろに、小さめの網を張った三重構造になっています。縦糸には粘りがなく、横糸に粘りがあります。古い網を片付けずに新しい網を重ねていくため、食べかすや落ち葉が付いたままになっていることがあります。
食べ物
チョウ、ガ、ハエを多く捕まえ、トンボやセミ、ときにはキリギリスも食べます。獲物はまず噛んで毒で弱らせてから、糸で巻きます。
1年の暮らし
| 時期 | 様子 |
|---|---|
| 5月半ば | 卵からかえった子グモが、糸を風に乗せて飛び(バルーニング)散らばる |
| 夏 | まだ小さく目立たない |
| 9〜11月 | 急に大きくなり、成体が目立つようになる |
| 10月半ば以降 | メスが白い卵のうに約500個の卵を産む。卵で冬を越す |
網に同居するオス
小さなオスはメスの網に自分の小さな網を張って同居し、1匹のメスに複数のオスがいることもあります。同居中のオスはほとんどエサを食べず、交尾の前後にメスに食べられてしまうことも多いとされています。
ジョロウグモが家のまわりに来る理由
家の軒先や庭、電線、庭木のあいだなど、網を張れる空間がある場所に住みつきます。卵のうは樹皮や建物のまわりに産みつけられます。網にかかる虫が多い場所ほど、網を張りやすい環境といえます。
ジョロウグモによる被害・影響
毒は人にはほとんど害がなく、追い詰められない限り噛むことはないとされています。牙が人の皮膚を通らないことも多いと報告されています。主な困りごとは、通り道や軒下に張られる大きな網と、見た目の不快さです。
ジョロウグモがいるサイン
| サイン | 見られる場所・特徴 |
|---|---|
| 黄金色の大きな網 | 庭木のあいだ、軒下、電線 |
| 食べかすや落ち葉が付いた網 | 古い網を重ねて張るため |
| 白い楕円形の卵のう | 晩秋の樹皮や建物のまわり |
ジョロウグモの対策と予防
ジョロウグモに限った自治体の案内は見つかっていませんが、クモ全般について次のような対策が案内されています。
- すき間をふさぎ、網戸を付ける
- エサになる虫を減らす
- 害のない種類は殺虫剤を使わず、ほうきなどで網ごと取り除く
ジョロウグモの豆知識
アメリカに広がる「Joro spider」
2014年にアメリカ・ジョージア州で北米で初めて見つかり、2022年10月の時点でジョージア州、サウスカロライナ州、ノースカロライナ州、テネシー州の一部に定着が確認されています。アメリカの研究では、近縁種より代謝率が高く、短時間の凍結にも耐えることが報告されています。
ジョロウグモの生存戦略
春に生まれた子グモは糸で風に乗って広く散らばり、秋に一気に成長して卵を残します。大きな網を重ねて張ることで、飛んでくる虫を効率よく捕まえています。
天敵と生態系での役割
鳥が主な捕食者と考えられ、原産地では寄生バチも記録されています。チョウやガ、ハエなど多くの昆虫を捕まえることで、身近な虫の数を減らす役割を持っています。
建物診断の視点
軒下と庭木のあいだ、門柱まわり、外灯の近くなど、虫が集まり網を張れる空間がある場所に網が張られやすくなります。外灯に集まる虫が多いと、クモのエサも増えます。
ジョロウグモの危険度評価
※地域・環境により変動する相対的な目安です。
| 項目 | 評価 |
|---|---|
| 人との接触 | ★★★☆☆(秋に庭や軒先で目立つ) |
| 人への害 | ★☆☆☆☆(毒は人にほとんど害がなく、めったに噛まない) |
| 見た目の不快さ | ★★★★☆(大きな体と網) |
| 虫を捕る役割 | ★★★★☆(チョウ・ガ・ハエなどを捕まえる) |
| 対処の難易度 | ★☆☆☆☆(網ごと取り除ける) |
コガネグモ・ナガコガネグモとの見分け方
| 種類 | 見分けるポイント |
|---|---|
| ジョロウグモ | 黄色と灰青色の細かい横じま。黄金色の三重構造の網。成体は9〜11月 |
| コガネグモ | 黄色と黒の太い帯模様。X字形の白い帯の中央に、脚を2本ずつそろえてとまる。6〜8月ごろ |
| ナガコガネグモ | 黄・黒・白の縞模様。ジグザグの白い帯を縦に付ける。8〜10月ごろ |
