家庭菜園のナスやトマト、枝豆に、つやのない緑色のカメムシがついている。丸い体に黄色や白の斑点がある幼虫が、かたまって葉にいることもある。こうした場面で見られることが増えているのがミナミアオカメムシです。
もともとは暖かい地域にすむカメムシで、冬の気温が上がったことなどから分布を北へ広げてきました。兵庫県でも、2025年に出された水稲の注意報の対象に含まれています。
本記事では、ミナミアオカメムシの生態を客観的に解説します。
ミナミアオカメムシとは?大きさ・見た目の基本情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 名称 | ミナミアオカメムシ(南青亀虫) |
| 学名 | Nezara viridula |
| 分類 | 昆虫綱 カメムシ目 カメムシ科 |
| 体長 | 12〜16mm(資料により14〜17mm) |
| 見た目 | つやのない緑色で、アオクサカメムシより縦長。黄色い帯や白い帯が入る色彩型もある |
| 幼虫 | 丸みがあり、背中に橙黄色〜黄白色の斑点がある |
| 世界の分布 | 熱帯・亜熱帯を中心に、南北アメリカ、アフリカ、アジア、オセアニア、ヨーロッパに広く分布 |
ミナミアオカメムシの生態|エサ・1年の暮らし
食べる植物がとても多い
32科145種の植物を食べるとされ、イネ科、マメ科、ナス・トマト・ピーマンなどの野菜、イチジクやビワなどの果樹まで幅広く利用します。
1年の暮らし
年に3〜4世代を繰り返し、成虫で冬を越します。越冬場所は、常緑樹の植え込みや生け垣、シュロ、屋根瓦の下、落ち葉の間などが知られています。4月ごろから活動を始めます。
ミナミアオカメムシが広がった理由
日本では1950年代に鹿児島・宮崎で確認され、その後四国や和歌山へ広がり、2008年以降は愛知・三重などの東海地方で多発、2010年には京都・千葉、2011年には滋賀・岐阜で生息が確認されました。
最も寒い月の平均気温が5℃以下の地域では、冬を越して数を保つことが難しいとされています。冬の気温が上がったことが、北へ広がった一因と考えられています。
兵庫県での状況
兵庫県では、2010〜2011年に明石市・加古川市・たつの市・稲美町・南あわじ市などで確認されています。2025年7月には、水稲の斑点米カメムシ類を対象にした注意報が出され、対象にミナミアオカメムシが含まれました。
ミナミアオカメムシによる被害・影響
- 稲の実を吸い、黒い斑点のある「斑点米」の原因になる。カメムシ類の中でも斑点米を作る力が強いとされる
- ダイズでは、莢が落ちたり、緑色のまま枯れずに残ったりする
- ナス科の野菜や果樹も吸って傷める
体が大きく吸う量が多いため、少ない数でも被害が大きくなりやすいとされています。
ミナミアオカメムシがいるサイン
| サイン | 見られる場所・特徴 |
|---|---|
| つやのない緑色のカメムシ | ナス・トマト・枝豆などの株 |
| 斑点のある丸い幼虫の集まり | 野菜の葉や実のまわり |
| 冬に生け垣や瓦の下で見つかる | 常緑樹の植え込み、屋根瓦のすき間 |
ミナミアオカメムシの対策と予防
農業向けの資料では、次のような対策が紹介されています。
- 周辺のイネ科雑草を刈り取る
- カメムシ類に登録のある薬剤を使う(一部の薬剤は効きにくいとされる)
家庭菜園では、株を見回って成虫や幼虫を取り除くことが基本になります。
ミナミアオカメムシの豆知識
幼い幼虫は見分けられる
アオクサカメムシとミナミアオカメムシは、1〜3齢の幼い幼虫なら体の色で区別できますが、4〜5齢になると区別がつかなくなるとされています。
ミナミアオカメムシの生存戦略
食べられる植物が非常に多く、年に3〜4回世代を重ねることで、短い期間に数を増やします。暖かい冬が続くと越冬できる地域が広がり、分布を北へ伸ばしています。
天敵と生態系での役割
卵に寄生するハチ(Trissolcus 属など)が天敵として確認されています。
建物診断の視点
生け垣や常緑樹の植え込み、屋根瓦の下は、冬越しの場所として使われることがあります。家庭菜園が家の近くにある場合は、庭木や生け垣とあわせてカメムシの集まり方を確認しておくと対策を立てやすくなります。
ミナミアオカメムシの危険度評価
※地域・環境により変動する相対的な目安です。
| 項目 | 評価 |
|---|---|
| 人との接触 | ★★★☆☆(家庭菜園や庭で見かける) |
| 作物への被害 | ★★★★★(食べる植物が多く、斑点米を作る力が強い) |
| 分布の広がり | ★★★★☆(暖冬で北上している) |
| 人への直接の害 | ★☆☆☆☆(刺さない・血を吸わない) |
| 対策の難易度 | ★★★☆☆ |
アオクサカメムシとの見分け方
| 見るポイント | ミナミアオカメムシ | アオクサカメムシ |
|---|---|---|
| 腹部の背面(はねの下) | 全体が緑色 | 一部が黒っぽい |
| 触角の先のほう | 褐色の部分がある | 黒い部分がある |
| 前胸の両端 | 先が丸く、ほとんど突き出ない | 先がやや尖って突き出る |
| 体形 | やや縦長 | — |
