クサギカメムシの生態と見分け方|秋に家に集まる理由と対策

クサギカメムシの生態と秋に家に出る理由|侵入経路・予防まで解説

秋が深まると、窓のサッシや雨戸のすき間に茶色いカメムシが何匹も入り込んでくる。その代表がクサギカメムシです。冬を越す場所を探して家に集まる習性があり、刺激すると強いにおいを出します。

果樹の害虫としても知られ、兵庫県では2024年に過去にない数が確認されました。この記事では、県の病害虫防除所や農研機構の資料で確認できた事実をもとに、クサギカメムシの見分け方、家に来る時期と理由、対策を解説します。

目次

クサギカメムシの基本情報

項目内容
和名・学名クサギカメムシ(Halyomorpha halys)
英名brown marmorated stink bug
大きさ約13〜18mm(鳥取県・熊本県)
色・模様暗褐色の地に、黄褐色〜茶褐色の不規則なまだら模様
発生年1〜2回(鳥取県・熊本県)。年1回で暖かい地域では一部2回(石川県)
越冬成虫が樹皮の下や岩の割れ目、家屋のすき間で冬を越す
被害ナシ・カキ・ミカン・ウメ・モモ・リンゴの果実、ダイズなど
クサギカメムシの成虫。茶色のまだら模様が目印
クサギカメムシの成虫。茶色のまだら模様が目印(イメージ)

見分け方|成虫と幼虫

成虫は茶色のまだら模様

熊本県と島根県の資料では、成虫は暗褐色の地に黄褐色から茶褐色の不規則な斑紋があるとされています。石川県は、赤褐色を帯びる個体もいると説明しています。大きさは鳥取県で13〜18mm、島根県で14〜18mm、石川県で約15mmです。

幼虫は成長とともに姿が変わる

石川県病害虫防除室の資料では、幼虫の姿を次のように説明しています。生まれたばかりの1齢幼虫は腹部が赤く、何も食べずに卵のまわりに集まっています。2齢になると全身が黒くなって脚が長くなり、エサを食べ始めます。3齢で腹部が横に広がって模様がはっきりし、4齢で胸に翅のもとが現れ、5齢では翅のもとが腹部にはみ出して成虫に近い色になります。

一年の暮らし

石川県の資料によると、クサギカメムシは4月ごろに越冬場所を離れ、5月下旬から交尾と産卵をくり返します。産卵のピークは6月中旬から7月上旬で、卵は葉の裏に約28個ずつまとめて産み付けられます(飼育下の数字)。8月ごろに羽化した新しい成虫は交尾をせず、越冬場所の近くへ移っていきます。

卵から成虫になるまでの日数は温度で変わり、石川県は24℃一定で44.5日という長野県の報告を紹介しています。

どこで育つかについては、熊本県は山林のスギ・ヒノキが繁殖源だとしています。一方、農研機構の外山晶敏氏は、針葉樹の実に頼る度合いは低く、主な発生源は雑木林だとみています(植物防疫 2014年)。

家に来る時期と理由

最低気温15℃が合図

農研機構の外山晶敏氏が紹介する富山県の調査では、越冬場所への飛来は9月下旬ごろに始まり、11月初めにピークを迎え、11月下旬に終わりました。飛来は最低気温が15℃を下回ってから始まり、最も多いのは最低気温が10℃を下回ったあとのよく晴れた日でした(植物防疫 2011年)。

本来の越冬場所は樹皮の下や岩の割れ目です。家では、それに似た窓枠や戸のすき間など、暗くて狭い場所に入り込みます。石川県も、樹皮のすき間・落ち葉の中・積んだ木材・石の割れ目、そして家屋に潜り込むと説明しています。

冬を越すためにサッシのすき間に集まったクサギカメムシ
冬を越すためにサッシのすき間に集まったクサギカメムシ(イメージ)

大きな建物に集まる習性

外山氏は、クサギカメムシには越冬のときに大きな建物に集まる習性があり、家に大量の成虫が押し寄せることがあると説明しています。ただし、越冬集団がフェロモンで遠くから呼び寄せ合っているという証拠はなく、触角を切ると集まらなくなることから、接触などの近い距離の刺激が関わっている可能性があるとされています。

果樹の被害と、兵庫県での大発生

鳥取県病害虫防除所によると、クサギカメムシはナシ・カキ・ミカン・ウメ・モモ・リンゴの果実やダイズなどの汁を吸います。石川県は、ウメやモモでは幼い果実が落ち、カキでは熟すころに吸われた部分が傷んで腐り、ブドウでは収穫期に腐敗やカビが出ると説明しています。

兵庫県病害虫防除所は2024年、果樹カメムシ類の注意報を出しました。5月の注意報第1号では、朝来市のトラップに4月だけで59匹がかかり、過去5年の最高(11匹)を大きく上回りました。8月の注意報第3号では、7月の予察灯(夜に点灯して虫を集める灯り)の数が平年の十倍以上になっています。

地点2024年7月の誘殺数平年
朝来市1,216匹97.9匹
加西市70匹2.0匹

数字は兵庫県病害虫防除所の注意報第3号によります。姫路市の北東に隣接する加西市でも、平年2.0匹のところが70匹に増えました。果樹園で増えた年は、秋に家に集まる数も多くなりやすいと考えられます。

におい・肌への影響

クサギカメムシは刺激されると強いにおいを出します。石川県は、寒い地域では屋内に入り込み、刺激されると強い悪臭を出す衛生害虫になると説明しています。においの主な成分は、トリデカンと、デセナール、オキソヘキセナールという物質だと報告されています(Nixonら、PLoS ONE 2018年)。

肌への影響については、前田学氏の論文(2021年)が、生きた成虫を足の裏に当てると2時間半で黄褐色に色づき、7日目に完全に消えたという実験を紹介しています。家のすき間に潜んでいるため、知らずに踏んだり手でつかんだりして被害を受けやすいとされています。

家に入れない対策

黄色い電球は効かない

「黄色い電球にするとカメムシが来ない」といわれることがありますが、大阪府の資料(2021年)と香川県病害虫防除所の資料(2024年)は、黄色灯の忌避効果はチャバネアオカメムシに対するもので、クサギカメムシやツヤアオカメムシには効果がないとしています。照明は、夜は最小限にし、紫外線をカットした防虫ランプを使う方法を堺市が勧めています。

秋の対策は「干さない・すき間をふさぐ」

堺市は、10〜11月は洗濯物を室内干しにすること、2〜3mmのすき間を隙間テープでふさぐこと、壁や窓、換気扇の口にピレスロイド系の殺虫剤をまいておくことを勧めています。殺虫剤には寄せ付けにくくする効果もあります。

富山県の調査で飛来が始まった9月下旬より前に、サッシや雨戸、換気口まわりのすき間を点検してふさいでおくと効果的です。前翅が茶色い緑のカメムシはチャバネアオカメムシで、こちらは黄色灯の効果が認められている種です。

見つけたら、つぶさずにテープで

堺市は、つぶさずにガムテープや紙で捕まえるよう案内しています。千葉市は、死んだカメムシも素手で触らないよう呼びかけています。

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世界に広がったクサギカメムシ

クサギカメムシは東アジア原産です。アメリカ農務省の外来種情報センターによると、1996年にペンシルベニア州アレンタウンで採集され、2001年に正式に確認されました。現在はアメリカの広い範囲に広がり、果樹・野菜・庭木の大きな脅威であるとともに、秋に大量に家に入り込んで冬を越す厄介な虫になっています。ヨーロッパにも侵入しています(外山2014)。

他のカメムシとの見分け方

種類大きさ見分けるポイント
クサギカメムシ約13〜18mm暗褐色に不規則なまだら模様
ツヤアオカメムシ約11〜17mm全体がつやのある緑色
マルカメムシ約5mm丸く厚みのある形

よくある質問

黄色い電球にすれば防げますか?

クサギカメムシには効果がありません。黄色灯の効果はチャバネアオカメムシに対するものです(大阪府・香川県)。

毎年家に来るのはなぜですか?

越冬のときに大きな建物に集まる習性があるためです(外山2014)。窓枠や戸のすき間など、暗く狭い場所に入り込みます。

いつごろ来ますか?

富山県の調査では9月下旬から11月下旬で、11月初めがピークでした。最低気温が15℃を下回ると飛来が始まります(外山2011)。

肌に付いたら大丈夫ですか?

黄褐色に色づくことがありますが、実験では7日ほどで消えています(前田2021)。かゆみや腫れが出たら皮膚科を受診してください。

まとめ

クサギカメムシは茶色のまだら模様が目印のカメムシで、最低気温が15℃を下回る秋に、冬を越す場所を求めて家のすき間に集まります。黄色い電球は効かないため、秋の前にすき間をふさぎ、洗濯物を室内に干し、見つけたらつぶさずに捕まえることが基本です。大量発生したときの対処はカメムシの大量発生対策、カメムシ全般はカメムシの生態もあわせてご覧ください。

出典

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政綱 純
バグディフェンス代表。政綱 純(まさつな まこと)。姫路市を拠点に、害虫・害獣の駆除と予防施工を行っています。不動産業界で7年間、賃貸・売買・管理・リフォーム・空き家再生に携わり、建物の構造や入退去検査・原状回復の現場を見てきました。宅地建物取引士・2級FP技能士。認定NPO法人 空き家相談センター 相談員。駆除で終わらせず、侵入経路と再発防止まで建物の側から考えることを大切にしています。
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