夕方、駅前の街路樹に大きな群れが集まり、にぎやかな鳴き声が続く。翌朝の歩道はフンで汚れている。家では、雨戸の戸袋から鳥の出入りがあり、巣を作られていた。こうした場面で見られるのがムクドリです。
ムクドリは一年を通して全国で見られる身近な鳥です。虫や木の実を食べる一方で、街なかでの大きなねぐらや、建物のすき間での巣作りが問題になることがあります。
本記事では、ムクドリの生態を客観的に解説します。
ムクドリとは?大きさ・見た目の基本情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 名称 | ムクドリ(椋鳥) |
| 学名 | Spodiopsar cineraceus |
| 分類 | 鳥綱 スズメ目 ムクドリ科 |
| 全長 | 約24cm(体重75〜90g) |
| 見た目 | 背は黒褐色、頭は黒っぽく、くちばしと脚が橙色。飛ぶと腰の白さが目立つ |
| 分布 | 日本では一年を通じて全国で見られる |
| 法律上の扱い | 狩猟鳥。ただし卵やヒナのいる巣の撤去には許可が必要 |
ムクドリの生態|食べ物・繁殖・ねぐら
食べ物
雑食で、昆虫やミミズ、カタツムリなどを食べます。初夏はサクラの実、秋はエンジュやネズミモチの実など、季節ごとに果実や木の実もよく食べます。
繁殖
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 繁殖期 | 3月下旬〜7月(年1〜2回) |
| 卵 | 薄い青緑色で、4〜7個 |
| 巣の場所 | 林の木の穴、人家の戸袋など建物の小さなすき間 |
大きなねぐら
6月末ごろから、竹林や市街地の林に「夏ねぐら」を作り、数百羽から数万羽が集まります。駅前の街路樹や公園、神社の竹林などがねぐらになることがあります。
ムクドリが家や街に来る理由
もともと木の穴に巣を作る鳥のため、雨戸の戸袋や建物のすき間を木の穴の代わりに使います。繁殖期が終わると群れで集まるため、駅前の街路樹などがねぐらとして使われることがあります。
ムクドリによる被害・影響
- ねぐらでの鳴き声による騒音
- ねぐらの下の歩道や車のフン汚れ
- 戸袋や建物のすき間での巣作り
- 巣立ちの後、巣にいたトリサシダニが人の生活空間に出てくることがある
兵庫県内の例
2015年の新聞報道では、JR姫路駅周辺に毎年5〜12月ごろの夕方にムクドリの大群が集まり、フンの苦情が出ていたことが伝えられています。姫路市は、フクロウの模型や防除装置の設置、街路樹の剪定、フンの清掃などを行っていました。加古川市でも、JR加古川駅前の商店街のケヤキに毎年夏から秋にかけて群れが集まることが報じられています。
ムクドリがいるサイン
| サイン | 見られる場所・特徴 |
|---|---|
| 鳥の出入り・鳴き声 | 雨戸の戸袋、屋根や外壁のすき間 |
| わらや枯れ草が出ている | 戸袋、すき間の入口 |
| 夕方の大群 | 駅前や公園の街路樹 |
| かゆみを伴う虫刺され | 巣立ちの後、巣に近い部屋(トリサシダニ) |
ムクドリの対策と予防
自治体の資料では、次のような対策が紹介されています。
- 巣を作られたくない場所は、あらかじめ鳥が入れないようにしておく
- 軒下や戸袋に防鳥ネットを張る
- 忌避剤や天敵の模型を使う
- 巣の材料になるハンガーなどを屋外に出したままにしない
- 街路樹では剪定を行う
巣の撤去と法律
ムクドリは狩猟鳥ですが、狩猟期間や方法は法律で決められています。卵やヒナのいない巣は土地の所有者が撤去できますが、卵やヒナがいる場合は捕獲の許可が必要です。
ムクドリの豆知識
1994年に狩猟鳥に
ムクドリは1994年に狩猟鳥に指定されました。狩猟鳥は全国で26種で、同じく住宅地で見かけるヒヨドリも含まれています。
ムクドリの生存戦略
繁殖期は建物のすき間や木の穴でヒナを育て、繁殖期が終わると大きな群れでねぐらに集まって過ごします。
生態系での役割
昆虫やミミズを食べ、果実や木の実もよく食べます。季節ごとに食べるものを変えながら、農地から市街地まで幅広い環境で暮らしています。
建物診断の視点
雨戸の戸袋、屋根と外壁のすき間、換気口のまわりなど、木の穴に似た奥行きのあるすき間は、ムクドリが巣を作りやすい場所です。巣立ちの後のダニ被害を防ぐためにも、繁殖期の前にすき間をふさいでおくことが大切です。
ムクドリの危険度評価
※地域・環境により変動する相対的な目安です。
| 項目 | 評価 |
|---|---|
| 人との接触 | ★★★★☆(戸袋や街路樹など身近な場所を使う) |
| 騒音・フン | ★★★★★(大きなねぐらでは数百〜数万羽が集まる) |
| ダニ被害との関係 | ★★★☆☆(巣立ち後にトリサシダニが出ることがある) |
| 人への直接の害 | ★☆☆☆☆ |
| 対策の難易度 | ★★★★☆(巣の撤去には法律の制限があり、ねぐらは地域ぐるみの対策が必要) |
ヒヨドリとの見分け方
| 種類 | 見分けるポイント |
|---|---|
| ムクドリ | 全長約24cm。茶色っぽい体で、くちばしと脚が橙色。飛ぶと腰が白い |
| ヒヨドリ | 全長約27cm。全体が灰色っぽく、目の下の後ろが茶色。「ピーヨ」と甲高く鳴く |
