昼間に庭で草むしりをしていると、黒と白のしま模様の蚊に何か所も刺される。植木鉢の受け皿やバケツには、いつの間にか水がたまっている。こうした場面でよく見られるのがヒトスジシマカです。
いわゆる「ヤブ蚊」の代表で、住宅の庭やベランダの小さな水たまりから発生します。デング熱などのウイルスを運ぶ蚊としても知られています。
本記事では、ヒトスジシマカの生態を客観的に解説します。
ヒトスジシマカとは?大きさ・見た目の基本情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 名称 | ヒトスジシマカ(一筋縞蚊) |
| 学名 | Aedes albopictus |
| 分類 | 昆虫綱 ハエ目 カ科 ヤブカ属 |
| 体長 | 4〜5mm |
| 見た目 | 黒と白のしま模様。胸の背中側に白い縦線が1本あり、脚もしま模様 |
| 原産地 | 東南アジア |
| 活動時期 | 5月中旬〜10月下旬ごろ(地域により5〜11月) |
ヒトスジシマカの生態|発生源・成長・1年の暮らし
小さな水たまりで育つ
幼虫(ボウフラ)は、小さな水たまりを好んで育ちます。住宅まわりでは、次のような場所が発生源になります。
- 植木鉢の受け皿
- 空き缶、ペットボトル、バケツ
- 古タイヤやブルーシートのくぼみにたまった水
- 雨水ます
- 墓の花立て、竹の切り株
短い期間で成虫になる
真夏は、卵が数日から1週間でかえり、その後10日ほどで成虫になります。メスの成虫の寿命は30〜40日です。
卵で冬を越す
秋になると成虫は死に、卵で冬を越します。卵は乾燥に強く、水がなくなっても生き残り、水がたまると再びかえります。
ヒトスジシマカが人を刺す理由
血を吸うのはメスだけで、卵を産むための栄養として血液が必要です。オスは草の汁や花の蜜で栄養をとります。主に昼間、特に朝と夕方に活動し、夜間はほとんど血を吸わないとされています。
ヒトスジシマカによる被害・影響
刺されるとかゆみが出るほか、デング熱、チクングニア熱、ジカウイルス感染症のウイルスを運ぶことがあります。
2014年には、東京の代々木公園を中心に約70年ぶりとなるデング熱の国内流行が起き、全国で162人の患者が出ました。このとき、感染地と推定された公園で採れたヒトスジシマカからデングウイルスが見つかっています。
ヒトスジシマカがいるサイン
| サイン | 見られる場所・特徴 |
|---|---|
| 昼間に刺される | 庭、ベランダ、植え込みのそば |
| ボウフラ | 受け皿、バケツ、雨水ますなどの小さな水たまり |
| しま模様の蚊 | 日陰の植え込みや草むら |
ヒトスジシマカの対策と予防
自治体の資料では、次のような対策が案内されています。
- 不要な容器は捨て、水たまりをなくす
- 植木鉢の受け皿や雨どいまわりの水は、週に1回は入れ替える
- 古タイヤにはシートをかけて水がたまらないようにする
- 雨水ますには網を張って、蚊が卵を産めないようにする
- 水を抜けない場所は、定期的に水を替えるかメダカや金魚を放す
- 外で作業するときは長袖・長ズボンと虫よけを使い、網戸を付ける
ヒトスジシマカの豆知識
北へ広がる分布
1950年ごろの分布の北限は栃木県北部でしたが、2015年に青森県の青森港と八戸港で幼虫が初めて採れ、2017年には県内の広い範囲で定着していると判断されました。年平均気温11℃以上が定着の目安とされています。
ヒトスジシマカの生存戦略
植木鉢の受け皿のようなわずかな水でも育ち、乾燥に強い卵で冬を越します。人の暮らしのまわりにできる小さな水たまりを利用して、住宅地で数を増やしています。
天敵と生態系での役割
自治体の資料では、水を抜けない場所の対策として、ボウフラを食べるメダカや金魚を放す方法が紹介されています。
建物診断の視点
ヒトスジシマカの行動範囲は発生源から50〜100mほどとされ、刺される場所の近くに発生源があることが多い蚊です。ベランダの受け皿や排水口、雨どい、敷地内の雨水ますなど、水がたまる場所を見回ると発生源を見つけやすくなります。
ヒトスジシマカの危険度評価
※地域・環境により変動する相対的な目安です。
| 項目 | 評価 |
|---|---|
| 人との接触 | ★★★★★(庭やベランダで昼間に刺す) |
| 感染症との関係 | ★★★☆☆(デング熱などのウイルスを運ぶことがある) |
| 繁殖の速さ | ★★★★☆(真夏は、ふ化から10日ほどで成虫になる) |
| 発生源の見つけやすさ | ★★★☆☆(小さな水たまりでも発生する) |
| 対策の難易度 | ★★☆☆☆(水たまりをなくすことが中心) |
アカイエカとの見分け方
| 見るポイント | ヒトスジシマカ | アカイエカ |
|---|---|---|
| 見た目 | 黒地に白いしま模様 | 赤褐色 |
| 血を吸う時間帯 | 昼間 | 夜間 |
| 発生源 | 小さな水たまり | 側溝や雨水ますなど水量の多い場所 |
| 冬の越し方 | 卵 | 成虫 |
| 移動距離 | 約100m | 1km以上 |
