ヒメマルカツオブシムシの生態と衣類に穴があく理由|侵入経路・イガとの違い

ヒメマルカツオブシムシの生態と衣類に穴があく理由|侵入経路・イガとの違い

しまっておいたウールのセーターに、小さな穴がいくつも開いていた。春先には、窓際や白い洗濯物に、まだら模様の小さな丸い虫がついている。こうした場面で疑われるのがヒメマルカツオブシムシです。

衣類を食べるのは幼虫で、成虫は花の蜜や花粉を食べます。春に屋外から入ってきた成虫が家の中で卵を産み、幼虫がしまってある衣類を食べることで被害が出ます。

本記事では、ヒメマルカツオブシムシの生態を客観的に解説します。

目次

ヒメマルカツオブシムシとは?大きさ・見た目の基本情報

項目内容
名称ヒメマルカツオブシムシ(姫丸鰹節虫)
学名Anthrenus verbasci
分類昆虫綱 コウチュウ目 カツオブシムシ科
成虫体長2〜3mm。楕円形で、背中に白・黄・黒褐色のまだら模様
幼虫成熟すると約4mm。茶褐色で長い毛が密に生え、お尻の両側に毛の束がある
分布日本を含む世界中

ヒメマルカツオブシムシの生態|食べ物・1年の暮らし

幼虫は動物性のものを食べる

幼虫は、羊毛や絹などの動物性の繊維、毛皮、羽毛、皮革を食べます。かつお節や煮干しなどの乾物、昆虫の死がいや糸くずも食べ、照明器具の中にたまった虫の死がいも発生源になります。

合成繊維を特に好むわけではありませんが、付いた食べこぼしなどの汚れを栄養にすることがあります。

成虫は花に集まる

成虫は衣類を食べず、花粉や花の蜜を食べます。キク科の白い花や、コデマリ、マーガレット、ヒメジョオンなどに集まります。

1年の暮らし

時期様子
4月中旬〜成虫が現れ、屋内にも入ってくる
春〜初夏成虫が花に集まる。屋内で卵を産む
夏〜冬幼虫がかえり、衣類などを食べて育つ
翌年の春幼虫がさなぎになり、成虫になる(1年に1世代)

幼虫の期間は300日あまりと長いのが特徴です。成虫の寿命は約30日です。

ヒメマルカツオブシムシが家に入る理由

  • 春〜初夏に、成虫が屋外から飛んで入ってくる
  • 白い洗濯物や、外出時の服に付いて持ち込まれる
  • 扉の開け閉めのときに入ってくる

屋外では、鳥の巣や蜂の巣をすみかにすることもあります。

ヒメマルカツオブシムシによる被害・影響

幼虫が衣類やじゅうたん(特に羊毛製品)、毛皮、羽毛製品に穴をあけて食べます。被害に気づくのは、しまっておいた衣類を出したときになることが多い虫です。

ヒメマルカツオブシムシがいるサイン

サイン見られる場所・特徴
ウールや絹の衣類の小さな穴クローゼット、タンス
毛の生えた茶色い小さな幼虫や抜け殻衣類の間、じゅうたんの端、押し入れ
まだら模様の小さな丸い虫春〜初夏の窓際、白い洗濯物

ヒメマルカツオブシムシの対策と予防

  • 衣類は洗濯やクリーニングで汚れを落としてからしまう
  • 密閉できる容器に入れて保管する
  • 防虫剤は使用量を守り、衣類の一番上に置く
  • 春〜初夏は、白い洗濯物に虫が付いていないか確認して取り込む
  • 網戸を付け、扉を開けている時間を短くする
  • こまめに掃除して、幼虫のエサになるほこりや虫の死がいを取り除く

活動するのは15℃以上とされますが、暖房の効いた家では一年中被害にあうおそれがあります。

ヒメマルカツオブシムシの豆知識

台所の乾物も食べる

幼虫は、かつお節や煮干しなどの乾物も食べます。衣類だけでなく、台所にしまってある乾物が被害にあうこともあります。

ヒメマルカツオブシムシの生存戦略

成虫は屋外の花で栄養をとり、幼虫は屋内の衣類や乾物を食べて長い期間をかけて育ちます。幼虫の期間が長く、しまった衣類の中で育つことが、家の中で見つかりにくい理由の一つです。

生態系での役割

屋外では鳥の巣や蜂の巣、昆虫の死がいなど、動物性の有機物を食べて暮らしています。

建物診断の視点

押し入れやクローゼットの奥、じゅうたんの端、照明器具の中など、ほこりや虫の死がいがたまりやすい場所は幼虫の発生源になります。成虫が入りこむ窓まわりの網戸の状態もあわせて確認しておきたいポイントです。

ヒメマルカツオブシムシの危険度評価

※地域・環境により変動する相対的な目安です。

項目評価
人との接触★★★★☆(衣類や乾物のある家ならどこでも)
衣類への被害★★★★★(ウール・絹・羽毛製品に穴をあける)
見つけにくさ★★★★☆(幼虫が小さく、しまった衣類の中で育つ)
人への直接の害★☆☆☆☆
対策の難易度★★☆☆☆(洗濯・密閉保管・防虫剤が中心)

イガ・コイガとの見分け方

種類見分けるポイント
ヒメマルカツオブシムシ甲虫の仲間。成虫は2〜3mmの丸い体にまだら模様。幼虫は毛深く、巣を作らない
イガガの仲間。体長約4.5mmで、前の羽に黒い紋が3つ。幼虫は繊維で筒状の巣を作る
コイガガの仲間。体長6〜8mmで、光沢のある茶金色

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政綱 純
バグディフェンス代表。政綱 純(まさつな まこと)。姫路市を拠点に、害虫・害獣の駆除と予防施工を行っています。不動産業界で7年間、賃貸・売買・管理・リフォーム・空き家再生に携わり、建物の構造や入退去検査・原状回復の現場を見てきました。宅地建物取引士・2級FP技能士。認定NPO法人 空き家相談センター 相談員。駆除で終わらせず、侵入経路と再発防止まで建物の側から考えることを大切にしています。
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