ペルメトリンとは?猫への毒性・人体への影響・配合商品をプロが解説

ペルメトリンとは?猫への毒性・人体への影響・配合商品をプロが解説

殺虫剤の成分表示で「ペルメトリン」という名前を見て、「人やペットに害はないの?」「猫がいる家で使っても大丈夫?」と気になった方も多いのではないでしょうか。ペルメトリンは家庭用殺虫剤だけでなく、犬用のノミ・マダニ駆除薬、虫よけ加工の衣類、マラリア対策の蚊帳にまで使われている、とても用途の広い成分です。

一方で、猫にとっては注意が必要な成分であることが獣医学の分野でよく知られています。この記事では、害虫駆除を生業とする立場から、ペルメトリンの特徴・効くしくみ・猫や人体への影響を、確認できた資料にもとづいてできるだけ正直に解説します。後半では、ペルメトリンが配合されている代表的な市販商品も紹介します。

目次

ペルメトリンとは|どんな殺虫成分か

ペルメトリンは、除虫菊(シロバナムシヨケギク)に含まれる天然の殺虫成分「ピレトリン」をもとに人工的に作られた、合成ピレスロイド系の殺虫成分です。

開発の経緯|「光で分解しにくいピレスロイド」として誕生

天然のピレトリンや初期の合成ピレスロイドは、光や空気にさらされるとすぐに分解してしまうため、屋外や長期間の効果が求められる用途には向いていませんでした。1973年、英国ロザムステッド研究所のエリオット(M. Elliott)らが科学誌『Nature』で、従来のピレスロイドより光に対して10〜100倍安定な新しい合成エステルを報告しました。これがペルメトリンを含む「光安定性ピレスロイド」の始まりです。

日本では農薬としての初回登録が1985年で、麦・果樹・野菜・花き・樹木・芝など幅広い作物に使われています。製剤の形も粒剤・水和剤・乳剤・液剤・エアゾル剤・マイクロカプセル剤と多彩です(環境省資料より)。

主な用途|家庭から世界の感染症対策まで

  • 家庭用・業務用の殺虫剤:ゴキブリ、ハエ、蚊、ノミ、ダニ類、トコジラミ、ムカデ・クモなどの不快害虫向けのくん煙剤やスプレーなど
  • 園芸・農業用の殺虫剤:ケムシ類、カミキリムシ類、アブラムシ類など
  • 犬用のノミ・マダニ駆除薬(動物用医薬品):首すじに垂らすスポットオン(滴下)タイプなど
  • 虫よけ加工衣料:繊維にペルメトリンを定着させた「着る虫よけ」
  • マラリア対策の蚊帳:ペルメトリンを樹脂に練り込んだ繊維で編んだ長期残効型蚊帳
  • 海外での人用医薬品:疥癬(かいせん)治療用の5%外用クリーム(日本の状況は後述)

ここまで用途が広い殺虫成分はそう多くありません。そのぶん、「どの製品に、どのくらいの濃度で、誰(何)に使うのか」で安全性の考え方が大きく変わる成分でもあります。

ペルメトリンの主な用途(殺虫剤・園芸・犬用薬・虫よけ衣類・蚊帳)

作用機序|なぜ虫に効くのか

ペルメトリンは、昆虫の神経細胞の膜にあるナトリウムチャネルに作用します。本来は一瞬で閉じるはずのチャネルが開いたままになり、神経が持続的に興奮した状態(脱分極)になることで、神経機能がかく乱されます(環境省「水質汚濁に係る農薬登録基準の設定に関する資料」)。虫は興奮・けいれんのような状態を経て動けなくなり、死に至ります。

選択毒性が安全性のカギ

殺虫剤メーカーのKINCHO(大日本除虫菊)は、ピレスロイドの特長として「哺乳類・鳥類など恒温動物の体に入ってもピレスロイドは速やかに分解され、短時間で体外へ排出される」ことを挙げています。つまり、虫には少量でよく効き、人や犬のように体内で分解・排出できる動物には比較的影響が出にくい、という性質(選択毒性)が安全性の土台になっています。

ただしこの「分解・排出できる」という前提が、猫では成り立ちにくいことがわかっています。詳しくは安全性の章で解説します。

ペルメトリンの特徴|「残効性の高さ」が強み

ピレスロイド系の成分はたくさんありますが、ペルメトリンならではの強みは効果が長持ちすること(残効性)です。

  • KINCHOの業務用技術資料では、ペルメトリン(商品名エクスミン)を「耐光性があり、残効性も非常に高い」「広範囲の害虫に有効で、特にゴキブリの駆除に最適」と説明しています。
  • 同社の害虫コラムでも、ピレスロイド各成分の比較の中でペルメトリンは「とくに残効性が高い」と紹介されています。

この性質があるからこそ、壁や床に吹き付けて虫が通るのを待ち伏せする「残留処理」や、何度洗濯しても効果が続く虫よけ衣料、アフリカで何年も使われる蚊帳といった用途に向いているわけです。

また、ピレスロイド全般に共通する性質として、KINCHOは「速効性」「忌避効果(薬剤の薄い場所に蚊が近づかない)」「追い出し効果(隠れているゴキブリを明るい所に飛び出させる)」を挙げています。

ペルメトリンは服や蚊帳にも使われる?|「着る虫よけ」と長期残効蚊帳

虫よけ加工衣料

米国疾病予防管理センター(CDC)は、蚊に刺されないための対策としてペルメトリン処理された衣類や装備を勧めており、「何度か洗濯した後も防護効果がある」と説明しています。同時に「ペルメトリン製品を直接皮膚に使用しないこと」とも明記しています。ペルメトリンは「肌に塗る虫よけ」ではなく、「衣類や装備に処理して使う」成分だという点は押さえておきましょう。

米国環境保護庁(EPA)によると、工場でペルメトリン処理された消費者向け衣料は2003年に初めて登録されました。EPAは「ペルメトリンは皮膚からほとんど吸収されない」こと、評価したすべての曝露シナリオで処理済み衣料が着用者に重大な影響を及ぼす可能性は低いことを示しています。一方で、洗濯で少量のペルメトリンが落ちることも示されており、ラベルでは他の衣類と分けて洗うよう指示されています。

日本でも、ペルメトリンを使った虫よけ加工衣料(インセクトシールド)が販売されています。なお、アウトドアブランドの「着る防虫」素材にはペルメトリン以外の成分を使うものもあるため、気になる場合は製品ごとに確認してください。

マラリア対策の蚊帳

住友化学の技術資料によると、同社のマラリア防除用蚊帳「オリセット®ネット」は、ペルメトリンを樹脂に練り込んだ繊維を編んで蚊帳状にしたもので、薬剤が樹脂の内部から表面へ少しずつ移行する技術が使われています。ペルメトリンは「安全性や防虫効果、加工適性の面から」選ばれ、2001年にWHO(世界保健機関)の評価で長期残効蚊帳として世界で初めてマラリア防除に有効と判定されました。

安全性|猫・犬・人体への影響

猫:犬用のノミ・ダニ薬による中毒が獣医学的に知られている

ペルメトリンでもっとも注意したいのが猫です。「犬用のノミ・マダニ駆除薬(ペルメトリン配合のスポットオン剤)を猫に使ってしまい、中毒を起こした」という事例が、海外の獣医学論文で多数報告されています。

ペルメトリン配合の犬用ノミ・マダニ薬を猫に使ってはいけない理由
  • 英国の動物中毒情報サービス(VPIS)への報告をまとめた研究(Sutton ら, 2007, Journal of Feline Medicine and Surgery):経過を追えた286例のうち96.9%で中毒症状が出現し、87.8%で筋肉の異常な活動(けいれん、ぴくつき、ふるえ)がみられました。死亡は10.5%(30例、うち10例は安楽死)で、けいれんは平均約39時間続いたと報告されています。直接塗布だけでなく、薬を塗った他のペットとの接触による二次的な曝露も含まれています。
  • オーストラリアの専門病院での42例の研究(Boland・Angles, 2010, 同誌):多くは犬用のペルメトリン・スポットオン製品を猫に使ったケースで、獣医師の助言なしにスーパーなどで購入されたものが多かったとされています。症状はふるえ(86%)、ぴくつき(41%)、知覚過敏(41%)、けいれん発作(33%)など。曝露から症状が出るまでの中央値は8時間で、退院できたのは42例中34例(81%)でした。

なぜ猫だけがこれほど弱いのでしょうか。研究では、猫は肝臓で薬物を処理する「グルクロン酸抱合」という仕組みの働きが弱く、ペルメトリンをうまく代謝・排出できないためと説明されています。犬用医薬品の国内販売元であるエランコのフォートレオン®製品ページでも、同じ理由(猫は肝臓でのグルクロン酸抱合能が低い)が記載されています。

濃度の差も大きな要因です。イタリアの症例報告(獣医学誌掲載、PMC公開)では、犬用製品には最大65%のペルメトリンを含むものがある一方、猫用に作られた製品は0.2%未満だと説明されています。

■ 犬用のノミ・マダニ薬について

日本で販売されている犬用の動物用医薬品にも、ペルメトリンを配合したものがあります。たとえばエランコの「フォートレオン®」は、1mL中にイミダクロプリド100mgとペルメトリン500mgを含む犬用の滴下剤で、製品ページには「本剤は犬専用に開発された製品です。猫には、投与しないで下さい。」と明記されています。

犬と猫を一緒に飼っているご家庭では、次の点に気をつけてください。

  • 犬用のノミ・マダニ薬を決して猫に使わない(「少量なら」「半分なら」も不可)
  • 犬に滴下した直後は、猫が犬をなめたり、体をこすりつけたりしないよう、乾くまで離しておく(添付文書の指示に従う)
  • 猫のノミ・マダニ対策は、猫用として承認された薬を獣医師に相談して選ぶ
  • 猫がふるえ・ぴくつき・けいれん・よだれなどを起こしたら、使用した製品の箱や添付文書を持ってすぐ動物病院へ

■ 猫がいる家で家庭用殺虫剤を使うとき

家庭用殺虫剤に含まれるペルメトリンの量は、犬用スポットオン剤とは製品の目的も濃度もまったく違います。ただ、猫がペルメトリンを代謝しにくいという性質は変わりません。使うときは、製品の表示を必ず守ってください。

たとえば、ペルメトリン配合の製品もあるくん煙剤「バルサン」について、販売元のレックはよくある質問で「ペット(哺乳類)は必ず外に出してからくん煙して下さい」「使用後は換気を十分(1時間位)に行った後、室内に戻して下さい」と案内しています。煙がかかった場合はペット用シャンプーで洗い、心配なときは添付文書を持って獣医師に相談するよう求めています。

スプレーや粉剤でも、猫が薬剤のかかった床や壁をなめたり、体に付けたまま毛づくろいしたりしないよう、使用場所と乾くまでの時間に気を配ることが大切です。

犬

犬はペルメトリンを分解・排出できるため、犬用に承認された製品を用法どおりに使う分には、動物用医薬品として広く使われています。ただし、用量を守ること、皮膚に異常が出たら獣医師に相談することは他の薬と同じです。

人体への影響

人に対しては、ペルメトリンは比較的安全性が高い成分とされています。

  • ADI(一日摂取許容量):0.05mg/kg体重/日。各試験で得られた無毒性量の最小値5mg/kg体重/日を安全係数100で割って設定されています(環境省資料)。
  • 皮膚からの吸収:EPAは「ペルメトリンは皮膚からほとんど吸収されない」としています。また、母子への生殖・発生への影響を示す証拠はないとしています。

実は、ペルメトリンは海外では人の皮膚病の治療薬としても使われています。ヒゼンダニが皮膚に寄生する「疥癬」の治療薬として、5%ペルメトリン外用剤(クリーム)が米国・英国・ドイツ・フランス・カナダ・オーストラリアで承認されており、米国CDCのガイドラインでは第一選択薬とされています(日本病院薬剤師会による厚生労働省への未承認薬要望書より)。

一方、日本ではペルメトリンの人用医薬品は承認されておらず、2014年に住友化学が発売した疥癬治療外用薬「スミスリン®ローション5%」は、同じピレスロイド系のフェノトリンが有効成分です。

とはいえ、殺虫剤は「人にまったく影響がないもの」ではありません。吸い込まない、肌や目に付いたら洗い流す、食品や食器にかからないようにする、といった製品表示の注意は必ず守りましょう。

抵抗性|ペルメトリンが効きにくい虫もいる

長年、世界中で大量に使われてきたピレスロイド系殺虫剤には、効きにくくなった(抵抗性を持った)害虫が各地で見つかっています。国立感染症研究所(現・国立健康危機管理研究機構)の駒形修氏による報告(IASR Vol.46, 2025年)では、次のような状況が紹介されています。

  • トコジラミ:極めて強いピレスロイド抵抗性を持つ個体が短期間で全国に広がり、2010年前後には全国各地で抵抗性が確認された。一部では代わりに使われる有機リン剤・カーバメート剤への抵抗性も見つかっている
  • アタマジラミ:2001年に初めて抵抗性個体が確認され、沖縄県で採集された個体の96%がピレスロイド抵抗性を示した
  • ネッタイシマカ・ヒトスジシマカ:東南アジアなどで高いレベルの抵抗性が報告されている

マラリアを運ぶハマダラカでも、アフリカを中心にピレスロイド抵抗性の広がりが大きな課題になっています。

家庭で「市販のスプレーをかけても死なない」「くん煙剤を焚いたのに減らない」という場合、使い方の問題だけでなく、こうした抵抗性が関係している可能性もあります。特にトコジラミは、ピレスロイド系だけに頼った対策では十分な効果が得られないことがあります(姫路のトコジラミ駆除)。

他成分との違い

ペルメトリン vs フェノトリン

どちらも合成ピレスロイドで、家庭用くん煙剤などでよく使われる成分です。同じ「バルサン」ブランドでも、品番によってペルメトリン配合のものとフェノトリン配合のものがあります(後述)。人の医薬品としては、日本ではフェノトリンがアタマジラミ用シャンプーや疥癬治療薬に使われているのに対し、ペルメトリンは国内では人用医薬品として承認されていない、という違いがあります。

ペルメトリン vs フィプロニル

フィプロニルはフェニルピラゾール系の成分で、ペルメトリンとは作用する場所が異なります。ゴキブリ用のベイト剤(毒餌)などで、食べた虫が巣に戻って仲間にも効果が広がる「連鎖効果」が特徴です。ペルメトリンが「かけて・待ち伏せして効かせる」タイプの製品に多いのに対し、フィプロニルは「食べさせて効かせる」製品に多いと考えると整理しやすいでしょう。詳しくはフィプロニルの解説記事をご覧ください。

ペルメトリン+別系統の成分という組み合わせ

市販品では、ペルメトリンに別系統の成分を組み合わせた製品も見られます。たとえば「水ではじめるバルサン」はオキサジアゾール系のメトキサジアゾンとペルメトリン、「バルサンクモの巣はらないスプレー」はメタジアミド系のブロフラニリドとペルメトリンの組み合わせです。

ピレスロイド系という分類について

ピレスロイドは、除虫菊の殺虫成分ピレトリンと、それをもとに作られた合成化合物の総称です。蚊取り線香や電気蚊取り、家庭用殺虫スプレーの多くに使われており、日本の家庭でもっとも身近な殺虫成分のグループといえます。

同じピレスロイドでも、即効性に優れるもの、揮散しやすく蚊取りに向くもの、残効性が高く待ち伏せに向くものなど、成分ごとに性格が違います。その中でペルメトリンは「光に強く、長く効く」タイプの代表格です。

環境・規制の話

魚や水生生物には強い毒性

ピレスロイドは恒温動物には比較的安全な一方、魚類や水生生物には強い毒性を示します。KINCHOも「熱帯魚や金魚など魚類にも毒性が強い」と注意を促しています。

環境省の資料では、ペルメトリンのニジマスに対する96時間半数致死濃度(LC50)は0.69μg/L、オオミジンコに対する48時間半数影響濃度(EC50)は2.7μg/Lとされ、水産動植物の被害防止に係る登録基準値は0.17μg/Lに設定されています。水質汚濁に係る農薬登録基準値は0.1mg/Lです。

家庭では、水槽のある部屋での使用に特に注意が必要です。レックはバルサン(くん煙剤)について、水槽のある部屋では使用できず、水槽と魚を完全に家の外に出す必要があり、カバーをかけるだけでは不十分だと案内しています。殺虫剤の残りや容器を洗った水を、池・川・排水溝に流さないことも大切です。

用途によって異なる法律で管理されている

ペルメトリンは用途によって管理する法律や区分が異なります。

  • 農作物・園芸用:農薬取締法にもとづく農薬(例:園芸用キンチョールE = 農林水産省登録第15975号、ペルメトリン0.2%)
  • ゴキブリ・ダニ・ノミ・蚊などの衛生害虫用:医薬品・医薬部外品(例:水ではじめるバルサン = 第2類医薬品)
  • ムカデ・クモなどの不快害虫用:雑貨品として販売されているものもある
  • 犬のノミ・マダニ用:動物用医薬品

同じ成分でも、表示されている「区分」と「適用害虫」を確認して、目的に合った製品を選ぶことが大切です。

ペルメトリンが配合された代表的な市販商品

ここでは、メーカー公式ページなどでペルメトリンの配合を確認できた商品だけを紹介します。同じブランドでも品番によって成分が異なるため、購入時はパッケージの成分表示を確認してください。

ゴキブリ・ダニ・ノミなど室内の衛生害虫に(くん煙剤)

水ではじめるバルサン(レック)

水を入れて使うくん煙剤(第2類医薬品)。有効成分はメトキサジアゾン(オキサジアゾール系)とペルメトリン(ピレスロイド系)。ゴキブリ、屋内塵性ダニ類、イエダニ、ノミ、トコジラミ、ハエ成虫、蚊成虫に。6〜8畳用(12.5g)と12〜16畳用(25g)があります。※同じバルサンでも「バルサン 40g」や「バルサンプロEX」はフェノトリン等が有効成分で、ペルメトリンは含まれていません。

カメムシ・ムカデ・チャタテムシなど不快害虫に(くん煙タイプ)

バルサン火を使わない水タイプ(レック)

楽天24
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不快害虫用の雑貨品。有効成分はメトキサジアゾンとペルメトリン。カメムシ、ムカデ、ゲジ、アリ、チャタテムシ、シバンムシ、ダンゴムシ、ワラジムシなどが対象です(チャタテムシ対策にも)。

クモに

バルサンクモの巣はらないスプレー 450mL(レック)

おくすりと健康専門店 Leaf land
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クモ類用の雑貨品スプレー。有効成分はブロフラニリド(メタジアミド系)とペルメトリン(ピレスロイド系)。

虫よけ加工衣料(着る虫よけ)

インセクトシールド 虫よけ加工衣類(インセクトシールドジャパン)

ペルメトリンを衣類に定着させた虫よけ加工衣料。公式サイトでは、くり返し洗濯しても虫よけ成分が落ちにくいことが特徴とされています。肌に塗るタイプの虫よけではなく、衣類として着用して使います。

参考:一般の小売店では買いにくい製品

  • 園芸用キンチョールE(KINCHO):ペルメトリン0.2%の園芸用殺虫剤(農薬)。メーカーはJA(農業協同組合)での購入を案内しています。
  • 業者が使う薬剤:たとえばKINCHOの「金鳥エクスミン乳剤(水性乳剤)」はペルメトリン5%の防除用医薬部外品で、ハエ・蚊・ゴキブリ・ノミ・トコジラミ・ダニ類などに希釈して残留噴霧などで使う業務用製品です。
  • 犬用のノミ・マダニ駆除薬:前述のとおりペルメトリン配合の動物用医薬品がありますが、猫には使用できません。犬に使う場合も獣医師に相談のうえ、添付文書に従ってください(この記事では商品紹介の対象にしていません)。

市販品で効かないときはプロの施工も選択肢

ペルメトリン配合の市販品は、正しく使えば多くの害虫対策に役立ちます。ただ、次のような場合は、市販品だけで解決するのが難しいこともあります。

  • トコジラミやチャバネゴキブリなど、ピレスロイド抵抗性が問題になりやすい害虫が相手のとき(チャバネゴキブリの生態)
  • くん煙剤やスプレーを何度使っても、しばらくすると再発するとき
  • 猫や観賞魚がいて、室内で薬剤を広く使うことに不安があるとき
  • ムカデやダニ・ノミなどの侵入経路・発生源がわからないとき(ダニ・ノミ駆除)

プロの駆除業者は、害虫の種類や発生状況を調べたうえで、抵抗性の有無も考えながら系統の異なる薬剤を使い分けたり、ペットのいる環境に合わせて施工方法を調整したりします。

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よくある質問

Q. ペルメトリン入りの殺虫剤を猫のいる家で使っても大丈夫ですか?

A. 製品の表示どおりに使うことが前提です。猫はペルメトリンを体内で分解しにくい動物なので、くん煙剤なら猫を室外に出し、使用後は十分に換気してから戻すなど、メーカーの指示を必ず守ってください。スプレーや粉剤も、猫が薬剤に触れたりなめたりしない場所・方法で使いましょう。

Q. 犬用のノミ・ダニ薬を猫に少しだけ使ってもいいですか?

A. 使わないでください。ペルメトリン配合の犬用スポットオン剤を猫に使って中毒を起こした例が、海外の獣医学論文で数多く報告されています。国内の犬用製品でも「猫には投与しないで下さい」と明記されています。猫には猫用の薬を獣医師に相談して使いましょう。

Q. 猫がペルメトリン中毒になるとどんな症状が出ますか?

A. 報告されている主な症状は、ふるえ、筋肉のぴくつき、けいれん発作、知覚過敏などです。オーストラリアの研究では、曝露から症状が出るまでの中央値は8時間でした。疑わしい場合は、使った製品を持ってすぐに動物病院を受診してください。

Q. ペルメトリンは人体に害がありますか?

A. 恒温動物の体内では速やかに分解・排出され、皮膚からもほとんど吸収されないとされており、比較的安全性の高い成分です。海外では疥癬の治療薬(5%クリーム)にも使われています。ただし殺虫剤である以上、吸い込まない、肌や目に付けない、食品にかけないなど、製品の注意表示は守ってください。

Q. ペルメトリン加工の虫よけ服は洗濯しても効果がありますか?

A. CDCは、ペルメトリン処理された衣類は何度か洗濯した後も防護効果があると説明しています。一方でEPAは、洗濯で少量のペルメトリンが落ちることも示しています。洗い方や効果の目安は、各製品の表示に従ってください。

Q. 市販のペルメトリン入りスプレーが効かないのはなぜ?

A. 薬剤が虫に届いていない、量や使い方が合っていないといった理由のほか、トコジラミなどではピレスロイド系への抵抗性が全国的に確認されていることも一因として考えられます。何度使っても改善しない場合は、別系統の成分を含む製品を試すか、専門業者への相談を検討してください。

まとめ

  • ペルメトリンは1973年に報告された「光に強い」合成ピレスロイドで、残効性の高さが最大の強み
  • 家庭用・業務用殺虫剤、園芸用殺虫剤、犬用ノミ・マダニ薬、虫よけ衣料、マラリア対策の蚊帳と、用途が非常に広い
  • 虫の神経のナトリウムチャネルに作用し、人や犬の体内では速やかに分解・排出される
  • 猫は代謝しにくく、犬用スポットオン剤の誤用による中毒が獣医学的に知られている。犬用の薬は猫に使わない
  • 魚や水生生物には毒性が強く、水槽のある部屋では特に注意
  • トコジラミなどでは抵抗性が広がっており、効かないときは別系統の薬剤やプロの施工も選択肢

ペルメトリンは「正しく使えば頼りになる、でも猫と魚には要注意」な成分です。成分表示と使用上の注意をよく読み、ご家庭の状況に合った方法で害虫対策を進めてください。

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政綱 純
バグディフェンス代表。政綱 純(まさつな まこと)。姫路市を拠点に、害虫・害獣の駆除と予防施工を行っています。不動産業界で7年間、賃貸・売買・管理・リフォーム・空き家再生に携わり、建物の構造や入退去検査・原状回復の現場を見てきました。宅地建物取引士・2級FP技能士。認定NPO法人 空き家相談センター 相談員。駆除で終わらせず、侵入経路と再発防止まで建物の側から考えることを大切にしています。
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