床下の湿気対策として、床下換気扇、調湿剤、防湿シートなどがよく紹介されています。ただ、どれが効くかは家ごとに違います。湿気の原因が違えば、効く対策も変わるからです。
不動産の管理や入退去の現場で、湿気のひどい床下を何件も点検してきました。床下にはカビが広がり、ゴキブリを中心にムカデやアリも住みついていました。湿気の原因は水漏れ、地面の濡れなど家ごとにさまざまです。ある物件では水漏れを修理業者に直してもらい、傷んだ床板も張り替えましたが、その後もカビは減りませんでした。原因を一つ取り除くだけでは、床下の湿気は解決しないことがあります。
この記事では、床下の湿気の原因を先に見分けたうえで、換気扇・調湿剤・防湿シートのどれを選べばいいかを、害虫の住みつきやすさという視点から解説します。
床下の湿気を放っておくと何が起きるか

床下は日が当たらず、風も通りにくい場所です。湿気がこもると、まずカビが生えやすくなります。湿った木材は傷みやすく、シロアリにとっても住みやすい環境になります。換気扇のメーカーも、床下の湿気を外に出すことでシロアリやカビの発生を抑えられると説明しています。
害虫の面でも、湿った床下は困った場所です。ゴキブリ、ムカデ、ヤスデ、ダンゴムシなどは湿り気のある暗い場所を好みます。床下で数が増えると、床のすき間や配管まわりから室内に上がってくることがあります。家の中で虫を見かける回数が多い家ほど、一度床下を疑ってみる価値があります。
対策の前に、湿気の原因を見分ける
床下の湿気には、大きく分けて3つの原因があります。原因によって効く対策がまったく違うので、ここを飛ばして商品を買うと、お金をかけても湿気が抜けないということが起こります。
| 湿気の原因 | 床下の様子 | まずやること |
|---|---|---|
| 水漏れ | 一部だけ濡れている、配管の下に水たまりやシミがある | 水道・設備の修理業者に修理を依頼する |
| 地面からの湿気 | 土がむき出しで、全体がしっとりしている | 防湿シートや調湿剤で地面からの湿気を抑える |
| 換気不足 | 換気口が少ない、物や植木で換気口がふさがっている | 換気口まわりを片付け、必要なら床下換気扇を検討する |
水漏れがある場合は、換気扇や調湿剤では解決しません。まず漏れを止めることが先です。ただし冒頭の例のように、漏れを直しても地面からの湿気や換気不足が残っていれば、カビは減りません。原因が一つとは限らないので、水漏れを直したあとも床下の様子を見ておくことをおすすめします。
換気扇・調湿剤・防湿シートの比較

原因の見当がついたら、対策を選びます。3つの対策の違いを表にまとめました。
| 対策 | 向いている床下 | 自分でできるか | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 床下換気扇(電源式) | 換気口が少なく、空気が動かない床下 | 配線を伴う場合は不可(電気工事士の資格が必要) | 本体代とは別に工事費がかかる |
| 床下換気扇(ソーラー式) | 日当たりのよい側に換気口がある床下 | 製品によっては可能 | 晴れた日しか回らない |
| 調湿剤 | 土がむき出しで、全体がしっとりしている床下 | 可能(床下に入れることが前提) | 敷く量が多く、運び込みが重労働 |
| 防湿シート | 土がむき出しの床下 | 可能(床下に入れることが前提) | すき間なく敷かないと効果が落ちる |
床下換気扇は「空気が動かない床下」向け
床下換気扇は、こもった空気を外へ出して入れ替えるための設備です。換気口が少ない、建物の周りが塀や隣家で囲まれて風が通らない、といった床下に向いています。一方で、地面から湿気が上がり続けている床下では、換気だけでは追いつかないことがあります。
電源につなぐタイプは、配線を伴う取り付けに電気工事士の資格が必要です。自分で付けたい場合は、太陽光で回るソーラー式が候補になります。ソーラー式は電源工事がいらず、既存の換気口に取り付ける製品があります。その代わり、日が当たらない日や夜は回りません。
調湿剤は「地面がしっとりしている床下」向け
調湿剤は、床下の地面に敷いて湿気を吸わせるものです。天然のゼオライトや炭を使った製品が多く、電気を使わずに置いておくだけで済みます。土がむき出しで、床下全体がしっとりしている家に向いています。
注意したいのは量です。たとえばアイリスオーヤマの住宅用床下調湿材(10kg袋)は、1畳あたり2袋(20kg)が施工の目安とされています。床下全体に敷くとなると相当な重さになるので、床下に入れるか、運び込める体力があるかを先に考えておきましょう。
防湿シートは「土がむき出しの床下」の基本
防湿シートは、床下の地面を覆って、土から上がってくる湿気を止めるためのシートです。床下がコンクリートで覆われていない古い家では、まず検討したい対策です。シートとシートの間にすき間があると、そこから湿気が上がってくるので、重ねしろを取ってすき間なく敷くことが大切です。調湿剤と組み合わせて、シートの上に調湿剤を敷く方法もあります。
自分で対策するときに使える商品
自分で床下に入れる場合に使える商品を紹介します。どれも電気工事がいらないものです。
アイリスオーヤマ 住宅用床下調湿材 10kg(YS-10)
- 主な素材は天然ゼオライト
- 施工の目安は1畳あたり2袋(20kg)
- 土がむき出しの床下に敷くタイプ
アイリスオーヤマ 住宅用床下調湿材 マットタイプ(YSM-06)
- 天然ゼオライトをマット状にしたタイプ
- 施工の目安は1畳あたり6枚(1ケース)
- 袋タイプより床下で並べやすい
床下用の防湿シート
- 土がむき出しの床下の地面を覆う
- 床下の広さに合わせて必要な面積を計算して選ぶ
- 重ねしろの分も見込んで多めに用意する
床下に入る作業は、狭い場所で体を這わせて進むことになり、思った以上に大変です。配管や電気の配線もあるので、無理に動いて傷つけないよう注意してください。床下に入るのが難しい場合は、無理をせず業者に点検を頼むほうが安全です。
自分でやらず、業者に見てもらったほうがいいケース
床下で水漏れの跡を見つけたときは、湿気対策より先に設備の修理が必要です。また、木材に土の筋のようなもの(蟻道)が付いている、木材を押すとへこむ、家の中で春先に羽アリがまとまって出た、といった場合はシロアリが疑われます。この状態で調湿剤を敷いても、シロアリの被害は止まりません。
湿気のひどい床下は、シロアリの被害が進んでいないかも合わせて確認しておきたいところです。床下の状態がわからないまま対策グッズを買うより、一度点検を受けて、湿気の原因と被害の有無をはっきりさせてから対策を選ぶほうが、結果的に無駄がありません。
まとめ
床下の湿気対策は、商品選びより先に、湿気の原因を見分けることが大切です。水漏れならまず修理、土からの湿気なら防湿シートや調湿剤、空気が動かないなら換気口の確保や床下換気扇、と原因に合わせて選びます。原因は一つとは限らず、水漏れを直してもカビが減らないこともあります。
湿った床下はカビだけでなく、ゴキブリやムカデなどの害虫、シロアリの住みかにもなります。家の中で虫を見かけることが増えた、床がきしむ、カビ臭いといったサインがあれば、床下の状態を一度確かめてみてください。
参考にした情報(2026年10月確認)
三菱電機「用途別換気扇(床下用換気扇)」
アイリスオーヤマ「床下調湿材」
イプロス「床下換気扇(ソーラー)製品一覧」
